現在、日本を含め世界で最も使用されている太陽光電池はシリコン系で約95%の占有率です。太陽光発電に関わられる方ですと単結晶モジュールや多結晶モジュールなどの言葉はご存知かと思います。

太陽光電池は「シリコン系」の他に「化合物系」、「有機系」が有ります。

現時点での変換効率は「化合物系(GaAs)」が約38%と圧倒的です。但し価格がシリコン系の100倍程度ですので価格(経済性)よりも性能を重視する人工衛星等に利用は限られています。

<引用元:エネルギー庁、「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画(案)の概要>

では、「シリコン系」「化合物系」「有機系」の現状を見て行きましょう。

 

シリコン系

現在最も使用されている「シリコン系」の変換効率は25%程度まで上がってきているもののNEDOの資料によると29%が限界と考えられています。

<引用元:NEDO WEB MAGAZINE> https://webmagazine.nedo.go.jp/practical-realization/articles/201111sharp/

 

化合物系

「化合物系」の種類は主にCIS、CIGS、CdTe、GaAs等がありますが、CIS、CIGSは生産コストは低いものの変換効率が20%台とシリコン系とあまり変わらず、CdTeは生産コストは低いですが有毒なカドミウムが主原料になります。コストの問題を解決出来ればGaAsが1番有望と言えそうです。

生産コストに関しては嬉しい記事が有りましたので紹介します。

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『ガリウムヒ素(GaAs)系の超高効率太陽電池はこれまで、変換効率はSi系太陽電池の2倍近くと高いが、製造コストが高価なため、人工衛星など限られた用途にしか使われていなかった。今、コストをこれまでの1/200に低減する技術開発が進展している。街乗り用EVが必要とするエネルギーの大半を太陽電池で賄えるなど、エネルギー問題のゲームチェンジャーになりそうだ。』

<引用元:日経XTECH> https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/03190/

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有機系

「有機系」の種類は主に色素増感、有機半導体の2種類があります。色素増感は低コストで量産もし易く色の多様性もありますが、変換効率は約10%程度でシリコンに及びません。有機半導体は変換効率は現在5%程度であるものの柔軟性が高く形や色(半透明も可能)も自由に作れるため場所を選ばず設置出来るので外壁や窓、自動車等なんにでも使えるので発展性に期待が持てます。

ペロブスカイト太陽電池

有機半導体から派生した日本発の『ペロブスカイト太陽電池』はプラスチックフィルムの柔軟性とシリコン系なみの変換効率(21.6%)が確認されています。

<引用元:科学技術振興機構>https://www.jst.go.jp/seika/bt107-108.html

 

まとめ

今後期待したい太陽光電池は変換効率で『化合物系のGaAs』(低コスト化の実現が必要)、利用の自由度で『有機系派生のペロブスカイト』になるかと思います。

今後、更に新しい技術が開発される事も期待しています。