昨今、エネルギー資源(化石燃料)価格上昇に起因する影響をよく見聞きする様になっています。身近なところですと電力料金の大幅な値上げ、ガソリン価格の高止まり、ガス料金の値上げ等々。また電力・ガス料金の値上がりは製造業、飲食業、流通業、物流業等ほぼ全ての産業に影響を与えています。

電気料金等生活に直結している価格変動は実感が有りますが、原油・LNG・石炭等の価格はどの様に推移しているか見て行きましょう。

原油価格の推移

原油価格の指標である WTI(2023年5月23日現在)は1バレル 72ドル前後ですが、長期的に見て現在の価格はどうかグラフで確認してみましょう。

<引用元:資源エネルギー庁 資源・燃料部資料>
ドルベースで見ると極端な高値では無いようですね。日本の場合為替の影響(10年前より約30%の円安)の方が大きいようです。

円ベースの資源価格推移


<引用元:資源エネルギー庁 資源・燃料部資料>
円ベースでみるとかなり高値水準で推移していますね。

発電量の割合

火力発電の燃料と言うと石油が最初に頭に浮かぶと思いますが、実際は石油の全発電量に占める割合は3%程度でLNG35%、石炭30%よりかなり小さい状況です。

では、発電量の1番2番を占めるLNGと石炭の価格推移も見てみましょう。

石油はガソリンや灯油など日々の生活(消費活動)に密着している為、価格変動を敏感に感じますがLNG・石炭は石油以上に上昇しています。特に石炭はこの3年間で約4倍に上昇しています。ビックリしますね。

世界のエネルギー自給率

日本は化石燃料(石油・LNG・石炭)はほぼ全量海外からの輸入に頼っています。

輸入は価格だけの問題で無く、輸出国の政策や環境変化により供給自体が止まるリスクを内包しています。直近でもインドネシアは2022年1月石炭を国内需給ひっ迫を理由に輸出を一時制限し、オーストラリアも新型コロナによる人員不足、豪雨等の影響により輸出が滞りました。
エネルギー資源の輸入はエネルギー自給率の低い日本にとっては戦前から生命線であり、今も構造は変わっていません。

まとめ

現在、電力料金は石油よりもLNG、石炭の価格の影響が大きい状況に有ります。
資源の少ない日本は再生可能エネルギーの比率を高める必要があり、正に死活問題と言える状況です。
但し、単純に再エネの比率を高めればよい訳ではありません。エネルギー価格が極端に上昇すれば国際競争力が低下し国内産業にダメージを与え日本経済は大変厳しい状況に陥ると思われます。
再エネの更なる技術革新を図り、低コスト化を進めるとともに省エネ技術の革新も肝要と思われます。

オイルショック後、世界に先駆けて省エネ化を成し遂げた日本であれば再エネ・省エネの更なる技術革新は可能であると信じています。